旅行から帰って、正直な感想をGoogleマップに書き込む。
日本では何でもない、この「当たり前」の行動が——タイでは逮捕・起訴・実刑につながりうるってこと、知っていましたか?
「さすがに大げさでしょ」と思いましたよね。でもこれ、実際に外国人観光客が被告席に座った事例が複数あります。都市伝説でも誇張でもありません。

『部屋が汚かった』の一言で前科がつく国があるって、旅行保険の約款に載せとくべきでは…?てか誰も教えてくれないじゃないですか、これ。
- タイへの旅行・出張を控えている人
- 海外でのSNS投稿のリスクを知りたい人
- 「言論の自由」が国によってどう違うのか気になる人
なぜタイでは口コミを書いただけで逮捕されるの?「コンピュータ犯罪法」の正体
タイには、旅行者が知らないまま引っかかる可能性がある法律が2つあります。
「コンピュータ犯罪法(Computer Crime Act)」と、「刑事名誉毀損罪」です。
コンピュータ犯罪法はもともと、サイバー攻撃や違法コンテンツの拡散を取り締まるために作られた法律でした。
ところが2017年の改正で、「虚偽の情報をオンラインで拡散した者」にも適用できる条文が加わったんです。
問題はここからで——この「虚偽」の定義が、非常に曖昧なんです。
投稿した本人が事実だと思っていても、訴えた側が「名誉を傷つける内容だ」と主張した時点で、捜査が動くことがあります。
さらに厄介なのが、タイの名誉毀損罪が民事ではなく刑事罰だという点です。
日本では名誉毀損は基本的に「損害賠償(お金の問題)」で解決されますが、タイでは禁錮刑(実刑)の可能性があります。
コンピュータ犯罪法と名誉毀損罪を合わせて起訴された場合、懲役5年・罰金10万バーツ以上になった事例も報告されています。
2019年には、タイのホテルに滞在したイギリス人女性が「部屋に虫がいた」とTripadvisorに投稿したことでホテルに訴えられ、一時パスポートを没収されてタイから出国できない状態になったと国際的に報道されました。最終的には和解に至りましたが、これはたった一行の口コミが引き起こした出来事です。
どうしてこんな法律が生まれたの?タイが「批判を許さない」ことの、深すぎる理由


この法律の背景を理解するには、タイ社会の構造を少し知っておく必要があります。
タイには「不敬罪(Lèse-majesté)」という、王室への批判を禁じる法律があります。
これは世界の中でも突出して厳しい言論統制のひとつで、違反すると最高で禁錮15年。
「批判は罰せられる」という法的文化が、ビジネスや観光の場面にも地続きで影響していると指摘する研究者は少なくありません。
加えて、タイの観光業はGDPの12〜20%を占める(時期によって変動)、国家の根幹産業です。
「観光客からのネガティブな評判を抑えたい」という強いインセンティブが、政府にも業界にも働いているのは想像に難くありません。
ひとつ誤解のないよう補足すると、タイ政府がすべての口コミを組織的に監視・摘発しているわけではありません。
訴えるかどうかは、あくまで事業者側の判断です。
ただ、「訴えようと思えば訴えられる法的根拠がある」という状況そのものが、旅行者にとって無視できないリスクになっているのが現実です。



『殴る気はないけど、いつでも殴れるよ』って黙って構えてる状態、ですよね。そっちのほうがよっぽどしんどい。
💡 ちなみに:じゃあタイ旅行中、SNSに何も書けないの?
実際に訴訟に発展しやすいのは、特定の店舗・ホテルを名指しで批判している投稿で、かつ相手側が「虚偽だ」と主張できる余地がある場合です。
「景色がきれいだった」「ごはんが美味しかった」といったポジティブな投稿はもちろん問題ありません。
現地事情を知る旅行者の間では、「滞在中は写真や記録中心にとどめ、評価コメントは帰国後に慎重に」というのが非公式ルールになりつつあります。
正直な感想を書く権利が、国境をまたいだ瞬間に武器に変わる——インターネットの「国境」というものを、改めて意識させられる話です。
まとめ:「正直な感想」が通じない国がある、という現実
- タイでは「コンピュータ犯罪法」「刑事名誉毀損罪」により、ネガティブ口コミが刑事事件に発展するケースがある
- 背景には、タイ独自の言論文化と、観光業を守りたい国家的な事情がある
- 訴えるかどうかは事業者次第だが、「訴えられる法的根拠がある」という事実そのものがリスク
- 滞在中の感情的な投稿を控えるのが、現状もっとも現実的な自衛策



旅のしおりに『この国では口コミを書くと前科がつきます』って書かれる時代が来るとは、正直思っていなかった。パスポートと一緒に、発言する権利も確認してから出かけてください。








