ファンタジー 児童文学

【児童向け】星をつなぐ時計台 ~時の見張り人の物語~

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風が吹き荒れる中、時計台の階段を駆け上がる二人の足音が響く。トーマスは、リリアの後を必死で追いかけていた。

「あそこ!」 リリアが指差した先で、大きな歯車が不自然な動きを見せ始めている。通常なら一定のリズムで回るはずの歯車が、まるでゴムのように伸び縮みを始めたのだ。

「これが時間の歪み」 リリアは懐中時計を掲げながら説明する。 「このまま放っておくと、町全体の時間が乱れてしまうわ」

その言葉の意味を理解する間もなく、トーマスは異変に気付いた。窓の外の景色が、まるで早回しの映画のように変化し始めたのだ。日が沈み、月が昇り、また日が昇る...それが数秒間隔で繰り返されている。

「大変だ!学校に行かなきゃいけない人は同じ朝を何度も過ごすことになるし、夜勤の人は永遠に夜の中にいることになる」 トーマスは理解し始めていた。

「その通り。でも、もっと怖いことが起きるわ」 リリアは真剣な表情で続ける。 「時間が完全に混乱すると、過去と未来の境目が曖昧になる。記憶が入り混じり、やがて人々は自分が何者なのかさえ分からなくなってしまう」

「どうすれば止められる?」

リリアは大きな歯車の中心を指さした。 「あの金色の歯車を回転させれば、時間の流れを正常に戻せる。でも...」

言葉の途中、床が大きく揺れ始めた。時計台全体が軋むような音を立てる。

「誰かが意図的に時間を狂わせているの。その人物は、きっとすぐ近くにいるはず」

トーマスは考えた。この時計台のことを知り尽くしているのは...。 「もしかして、地下の管理室!」

「管理室?」

「うん、祖父が生前、重要な装置は全部地下に置いてあるって言ってた。でも入り口の場所は...」

トーマスは床を見回す。祖父との思い出を必死で思い出そうとする。 「そうだ!」

古い絨毯の端をめくると、そこには小さな取っ手が見えた。二人で力を合わせて引き上げると、地下へ続く階段が現れる。

暗い階段を降りていくと、かすかな光が見えてきた。それは...青白い光を放つ不思議な装置。そして、その前にたたずむ一人の影があった。

「まさか...」 トーマスは目を疑った。 その人物は...。

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